アンドレアス・グライナーと保良雄による二人展「A Drop of Water」を、中目黒・神楽坂の両会場にて同時開催いたします。
faro WORKPLACE 11時〜19時 目黒区青葉台3-15-17
FARO神楽坂 Gallery 13時〜19時 WINDOW GALLERY 新宿区袋町5-1
(窓の外からご覧頂く作品です。ギャラリー内の見学をご希望の方は事前にご予約ください)
世界的な環境危機が目前の課題として突きつけられるなか、近年では山火事や水害などの自然災害が多発し、私たちの生活にも直接的な影響を及ぼすようになりました。このような状況下で、アンドレアス・グライナーと保良雄は、自然と文化の関わりやその歴史に強い関心を寄せ、作品を通じて問いを投げかけます。
ドイツと日本、それぞれ異なる文化的背景を持つ二人の作家と対話を重ねる中で、私たちは「Kulturfrau(クルトゥールフラウ)」という言葉に出会いました。これは、第二次世界大戦後のドイツで植樹活動を行った女性たちを指し、その姿はドイツのコインにも刻まれています。ドイツ語で「Kultur」は「文化・教養」を意味すると同時に、「耕作・開墾・栽培」といった意味も含みます。「Frau(フラウ)」は「女性」を指すとともに、人名の後につけて「~さん」という敬称として使われる言葉です。 制作の過程において、グライナーは森へと分け入り、保良はヒマラヤの山々を登るなど、それぞれ異なるアプローチで自然と向き合ってきました。一本の樹を植えることから始まり、それがやがて大きな森へと成長していく——二人のアーティストの姿勢は、一滴のしずくのようにささやかでありながらも力強く、戦後の混迷期に自然と向き合った「Kulturfrau」の行動に重なるようです。
両会場では、グライナーはハンバッハの森をリサーチし、撮影した膨大な画像アーカイブをもとにした作品を、保良は福島県大熊町に入り、この地の土についてリサーチを進めた作品を中心に、自然と文化の関係性についての深い洞察から制作されたインスタレーション・映像・オブジェなど、多様な表現方法による作品を展示いたします。これらの作品を通じて、二人の共通点と相違点が浮かび上がることで、アートが問題に対して多角的な視点をもたらす意義がより深まり、それが私たち一人ひとりの行動へとつながる「種」となることを願います。